眉は口ほどに物を言う
    水野未和子
    2025/11/14 00:00
    「目は口ほどに物を言う」とよく言いますが、メイクおよび眉毛のエキスパートである私は、こう言いたいのです。 「いや、眉こそが口ほどに物を言う」と。 実は、絵文字の喜怒哀楽を表現しているのも、ほとんどが眉毛の動き。 それほどまでに、眉は感情や印象を左右するパーツなのです。 たとえば── 眉頭が離れていたり、眉山がほとんどなくストンと落ちた眉は、下に引っ張られて困ったような顔立ちに見えてしまう。 逆に、サロンなどで極端に刈り込まれた眉毛は、シャープでキツい印象に。 男性の場合も同様で、ちょっと怖い雰囲気を与えてしまうこともあります。 これは、老若男女を問わず共通して言えることです。 唇の流行の色とは違い、眉毛は人それぞれ、まさに千差万別。最大公約数でつくる眉特集や、丁寧なプロセスカット付きの解説でさえ、万人に通用する“正解の眉”にはどうしても行き渡らない。 だからこそ、私が一番伝えたいのは── 自分の正解は、自分の眉の中にしかないということ。 他人の「似合う眉」は、あなたの「正解の眉」ではありません。 自分の眉毛のアウトラインを剃り落とし、無理に形を変えたところで、顔立ちや筋肉の流れに逆らった眉は、「表情」から浮いてしまい、取り残されたような不自然な印象を与えてしまうのです。 私からの提案は、まず何よりも「自分の眉毛をしっかりと観察すること」から始めてほしいのです。 というのも、長年のクセや自己流の手入れによって、自身の本来の美しい眉の形や毛流れがわからなくなっている人がとても多いのです。 そこで一度、眉毛を切ったり、抜いたり、剃ったりするのをやめて、ありのままの状態で生やしてみる。 そして、自分の眉毛がどのくらいの密度で、どの方向に、どんな質感で生えているのかを見極めること。 一見すると長すぎたり、邪魔に感じる毛でも、眉ワックスなどで毛流れをつくることで、眉全体の形を美しく見せてくれる重要な一本であることもあります。 自分の眉毛の“個性”を知り、活かすことが大切です。 私たちは時に、「正しさ」や「理想」を、自分に無理やり当てはめようとしてしまいます。 本当の美しさは、他人の正解をなぞることではなく、自分の中の正解に気づいていくことなのだと思います。