ここ2~3年の間で、女性ファッション誌でよく使われるようになった言葉のひとつが「抜け感」。SNSを見ても、ヘアメイクさんにトレンドを聞いても、出てくるのは「抜け感をつくるのがポイント」とのこと。私はこの曖昧な言葉の意味がなかなか理解できずにいたのですが、いろいろ考察した結果、たどりついた答えは「抜け感=頑張ってない感」ということ。そしてこの「頑張ってない感」こそがaround40のメイクにはとっても重要なのです。

今年の秋冬ファッションの軸となるのは、やはりジャケット。セットアップでコーディネートしたり、ビッグシャツやローファーを合わせたり、どこかマニッシュなムードが気分です。そこでリップにもトレンド感を足したいところですが、さて、何を選ぶ?
例えば真っ赤なリップだとどこか古臭い印象。ピンクだと若づくりしているように思われないかソワソワ……。かといってベージュだと顔色悪く見えてない!? !? そう、大人のリップ選びは一筋縄ではいかないのです。

そこで私が絶大な信頼を寄せているのが、ブラウンリップです。カジュアルなのにスタイリッシュ。上品なのに芯がある。シンプルだけど無難に終わらせない、ちょっとしたスパイスが効いている。そして年齢とともに少しくすんできた肌に、無理なく、ちょうどいい血色感を与えてくれる色バランスも絶妙です。

ブラウンと一言にいってもそのバリエーションは様々。
上:こっくりとした赤みブラウン。ちょっとしたお出かけや、アクセントがほしいときに。
中:透け感のあるディープブラウン。シアーな発色なので挑戦しやすい色。
下:ややオレンジ味のあるブラウン。日本人の肌に馴染みやすく、デイリー使いにも最適。
ジャケットは少し堅苦しく見えてしまうから、ラフに着崩す引き算、つまりは「抜け感」が必要で、それをリップで調整してあげると着こなしがぐっと今っぽくなります。ブラウンリップって難しそう、私には似合わなそう……そう尻込みする前に、まずはぜひいろいろ試してみてください。そして似合う・似合わないにあまりこだわらず、自分の心が“ワクワクする”ものを見つけてほしいと思います。
年齢を重ねるにつれ、つい保守的になりがちですが、メイクに1つの正解なんてないのだから、自分の枠から“えいっ”と飛び出す勇気も必要。思い込みを手放すことで、自分の可能性はいくらだって広げていけるのだと思います。