潤わないのはなぜ?保湿のメカニズム
    平輝乃
    2026/01/16 00:00
    スキンケアの基本と言われる保湿。これだけたくさんいいスキンケア製品が出ているのに、なんでみんなこんなに乾燥すると言い、一向に乾燥悩みが減らないのだろう……。これ、意外に保湿とはどういうことかわかっていないために起きているのかもしれません。化粧品が浸透するのは、よく角層まで、と言われていますよね。わずか0.02mm、食品用ラップ程度の厚みだから、そんなところを潤すなんて簡単と思っちゃいませんか? これがなかなかどうして、難しいのですよ。顔の肌の角層は多少の個人差はありますが、10数層あると言われています。角層は紫外線やウイルスなどの外的刺激から体を守るバリアなので、そう簡単になんでもかんでも通さないような構造になっています。 スキンケア製品はさまざまな処方の工夫で浸透性を高め、角層に潤いを届けます。が、そんな高性能な化粧水や美容液でも角層に浸透するのは上から数枚程度と言われています。表皮に接している下側の角層が表皮から(つまり体内から)水分をくみ上げ、角層全体を潤しているのです。年齢を重ねると、このくみ上げる力が弱くなる上、上層部では紫外線などを浴びた影響で角層が分厚く重層化しているので、外から与える潤い成分が入りづらくなります。皮脂が過剰なオイリー肌なら水分を弾く皮脂を取り除いてから化粧水の浸透は高まるし、肌表面が固くゴワゴワしていて化粧水が入りづらいと感じている人は、角質をオフするピーリング作用のある美容液やスクラブ剤などを利用して古い角質を取り除いてから化粧水を使うというひと手間で、かなり浸透が高まると思います。 私は化粧水の規定量を手に取ったら、首を反らして上を向き、両手で顔を覆ってハンドプレスをしています。上から数枚しか潤せない角層なら、物理的力で少しでも押し込むようにしています。凸凹のある顔の細かい部分にまで化粧水が行き渡るようにハンドプレスするだけでも、ただ漫然と化粧水を塗るより浸透力は高まります。時間があるときは美顔器などのイオン導入の力を使って、浸透をさらに上げるケアも行います。反対にやらないことは規定量以上の量を短時間で肌につけること。角層に水分を一気に入れ込もうと何度何度も重ね付けすることは、角層の間と間を埋めている細胞間脂質を溶かしだし、キメが乱れる原因になるのでやりません。シートパックを規定時間以上、置くのも無意味。水分は潤った場所から乾燥した場所へ移動するのだから、肌の方が潤っていて、パックが乾いていたらそちらに逆戻りすることになるからです。 かれこれ20年前近く、割いたコットンに化粧水を浸すコットンパックが大流行りしたことがありました。これまで漫然と化粧水を塗っていた人がそうやってしっかりと化粧水を浸透させる時間を取ったことで劇的な効果を感じたのだと思います。それとは逆にブームからしばらくするとコットンパックは余計乾燥する……という声が聞かれるように。私は、これはコットンパックが乾くほど長い時間、放置していたせいなのでは?と推測。ある美容法が流行るとみんなこぞって真似をしますが、正確な方法でやることが抜け落ちる人がたまにいます。化粧品の規定量にしても、メーカー側は何十、いや何百回とシミュレーションをし、効果を計測しています。少ないのはもちろんのこと、多すぎるのも過ぎたるは及ばざるがごとし。スポーツでも勉強でも、まずは基本。保湿ケアもスペシャルなことばかりに気を取られずに、化粧水で潤す、乳液で肌を整える、美容液で美容成分を送り込む、クリームで与えた水分や美容成分をしっかり肌にシールドするといった基本を毎日、丁寧にやることが第一。お花に一週間分の水を一気に上げても根腐れしてしまうように、毎日コツコツが結局は一番の美肌の近道なのだと思うのです。
    ※個人の見解です ※商品の効能効果を保証するものではありません