
メイクって正直めんどいですよね。例えば出勤前。私は手が遅いタイプなので肌を整え眉を描き、シャドウやリップを塗るだけでも最低20分はかかります。メイクをしないですむならば、もっとゆっくりできるのに……時々そう思います。
「もうオバさんだもん、張り切ってメイクしたところで誰も見てないじゃん」そんな同い年(52歳)の友人の言葉にも共感しきり。
じゃあなんで、私たちはメイクをするのだろう?
その答えは人それぞれ。社会人としてのマナーだからという人もいるでしょう。
ちなみに私は、「メイクは、武装でありお守りであるから」というのが一番しっくりきます。
人生ってうまくいくことばかりじゃない。
50代に突入した今でもなお、心が折れそうな出来事に直面することもあります(わりとしょっちゅう)。そんなときに助けてくれるのがメイクです。頑張ったところで絶世の美女(死語)になれるわけでも、20歳の頃の顔に戻れるわけでもありません。だけど内側からジワジワと滲み出てしまいそうになる不機嫌オーラを、晴れやかな色合いのチークやリップがさりげなく、かつ確実に隠してくれます。弱気が表情に出そうなときでも、キリッと引いたアイラインやグッと上げたまつげをキープするマスカラが、「私はまだやれるのだ」と背中を押してくれます。
だから私は、落ち込んでるときや、苦手な人に会うときほど、時間をかけてメイクをします。臆して丸くなりそうな背筋をしゃんと伸ばして、前を向く。メイクにはそんな効用があると信じているから。
そもそも最近のコスメはとっても優秀。プロのようなテクニックがなくても、肌のアラは隠せるし、目や唇のパーツだってある程度は補正できます。まぶたのたるみやほうれい線のスタート地点にちょっと明るめのコンシーラーで短い斜めの線を引けば、キュッとリフトアップして見えるし、年齢を重ねると萎んで薄くなる唇に粘膜カラーのリップライナーで本来より少し大きめに輪郭を描いて上からリップを重ねれば、ふっくら豊かな輪郭に。
美容医療のような劇的な変化は起こせないけど、心を曇らせるエイジングサインを自力でなんとかできるのって、すごく心強いこと。大人になった今、落ち込んでても、やさぐれてても、誰かが機嫌をとってくれるなんてこと、まずありません。だからこそ、自分の気分を上げる手段はたくさんあった方がいい。メイクってその一つなのだと思うのです。
もう若者ではないけれど、人生はまだまだ続く。
心地よく生きていくためにメイクの力を借りてみるのもおすすめです。